「親子逆転」という言葉を知っていますか?
親が子供に甘えて、子供が親の世話を焼く・・・それが親子の立場が逆転している状態です。
子供を「母親」の代わりに使ったり、夫を「父親」の代わりに使ったり・・・そういう母親がいるのです。
子供は自立しにくくなるので、注意が必要です。
親子の立場逆転はどうして起こる?
大人になると、人は自立します。
- 精神的な自立
- 物理的な自立
- 経済的な自立
この3つが揃って初めて「自立」と言えるのですが、親となった両親でも経済・物理的自立はできていても、精神的な自立ができていないことがあります。
親元離れて、会社に入って収入を得ていても、精神的自立には関係ないというわけです
精神的な自立ができていないと・・・・
- 自分の機嫌が取れない(自分をコントロールすることができない)
- 他者軸で生きている
- 感情の起伏が激しい
- いつも不満を抱えている
- 素直なコミュニケーションが取れない
などといった弊害が作られます。
もちろん、大人相手のコミュニケーションだけでなく、自らの子供に対しても適切なコミュニケーションが難しくなります。
それが親子の立場逆転の根っこ、というわけですね。
親子の立場逆転って具体的にどんな?
親子の立場逆転のある家庭では、子供が親に気を遣ったり、機嫌を取ったりしていることが多々あります。
親が下記↓のような状況でいると、子供は親に気を遣ってしまいます。
- 子供にため息を聞かせたり、不機嫌な態度を表す
- 機嫌が悪かったので、子供との約束をブッチする
- 親の調子や機嫌で物を買ったり、取り上げたりする
- 夫婦喧嘩を当たり前のものと思い、子供にも平気で見せつける
- 子供が料理を美味しいと言わなかったので「もう作らないわよ!」などと言ってキレる
- 自分が寂しい気持ちを「お前は親のことを大事に思ってない!」などとキツイ言い方にすり替えて言う
一言でいうと、「自分の問題を子供にも押し付けている」という状態です。
この状況下で子供が育つと・・・・
自分が親より大人にならなきゃ…
自己主張しないような人間になろう
お母さんとお父さんの間を取り持ってあげないと!
というふうに、義務感で生きていくことになります。
そしてそれが親子の立場逆転に繋がってしまうのです。
子供を母親がわりにするってどういうこと?
精神的に自立できないない親は、インナーチャイルドを抱えていることが多いです。
その場合、親が子供に「母親役」「父親役」などを求めたりします。
まるで子供が母親に甘えるかのように、
「⚪︎⚪︎ちゃん、あれどこ〜?」「わかんない!できない!だからやってぇ〜」という軽いものから、
子供の前で急に不機嫌になって見せたり、ふてくされたり、重いものまで。
実際に私も、母親が「もお知ーらない!!」って感じで子供みたいにふてくされたのがしょっちゅう。
ふてくされるのは本来、子供の仕事。それを大人が取ってしまえば、子供は何もできなくなるのです。
子供に母親がわりを勤めさせ、不機嫌や不貞腐れという態度を使って甘えてみることで、自分のインナーチャイルドを満たそうとしているんですね。
すると子供は子供なのに変に大人びて、自分の欲求や主張を我慢するようになりますし、
親は親で、子供に甘えられる環境があるのでどんどん無責任になっていきます。
親子逆転の子供は自立しにくくなる
親子の立場逆転している子供は、親を守ってあげなきゃ!と思ってしまうので、自立が難しくなります。
逆転しているとは子供も親も全く気づいていないので、「親子なのに苦しい」という違和感が続いていきます。
世間では、親子(家族)=幸せの象徴!一生仲良し!
みたいな概念があるのに、
「自分のところはなんか違うな・・・」っていうふうに。
この苦しみはすごく辛いです。
子供は何とか自立しよう、違和感から抜け出そうとするのですが、
- 結婚しても、実家に戻らなきゃいけない気持ちが強まる(実際に頻繁に実家に帰ったりする)
- パートナーよりも親のことを優先してしまう(だからパートナーとの仲が悪くなる)
- 離婚して親元に戻ってしまう
という負のループに入っていくこともあります。
はっきり申し上げよう。子供は親ではない!!
子供は親の選択で生まれてきました。
子供は無条件に愛を受け取る権利があります。
それなのに、子供に自分の不機嫌や世話を焼かせるなど、あってはならないことです。ましてや、親子の立場逆転なんて、健常な親が見たら理解に苦しむでしょう。
親が自身の幼稚さ、未熟さを成長させようとしない限り、標的になるのは一番身近でコントロールしやすい「子供」です。
子供には何の罪もありません。全ては成長をしようとしなかった親の責任です。
子供は脳が柔らかく素直だから、親の言うことを絶対って思っちゃう。
こんなに残酷なことがあっていいのでしょうか。答えは「いいえ」です。
筆者の例(親子の立場逆転)
私の家でも親子の立場逆転はありました
母親が不機嫌になったりふてくされたり。
世話焼きだけど恩着せがましいところがあるので、何かと恩を着せられました。
「感謝しなきゃ」「怒らせないように」「悲しませないように」
というふうに気を遣って生きてきました。
父親と目を見合わせながら「お母ちゃんを怒らせないようにしような」という暗黙の了解みたいなのがあり、まさに親子の立場逆転でした。
父親(母の夫)が、母の父親役となり、
私(子供)が、母親の母親役、となったのです。
母親は駄々をこねれば、父と母が何とかしてくれるので、成長しようとも思わなかったのですね。
大人になってから外界(社会)に触れるたび、なんて幼稚な母親なんだろうと思うようになったのが、気づきのキッカケでした。
親子の立場逆転を辞めさせるには?
結論から言うと、親が幼稚なことを辞めさせようとする必要はありません。
親の成長に加担しなくていいのです。加担してしまうことが、「親の立場」になってしまうからです。
アドラー心理学の「課題の分離」を使って、親の問題と自分の問題をしっかり切り分けていきましょう。
また、自分自身が子供の頃に満たされなかった気持ち(インナーチャイルド)を満たすことも大事になってきます。
- 自分は幼い頃から、親の立場に立ってしまった
- 本当はもっとお母さん・お父さんに素直に甘えたかった
- 無条件に甘えることを許して欲しかった
- もっと子供らしくいたかった!!!
という思いを素直に感じ取り、自分を育て直すつもりで取り組んでいきましょう。
本当はあなたももっと、不機嫌になったり、ふてくされたり、わがまま言ったり、ごねたり、・・という子供らしい感情を出していく権利があったのです。
自分の感じた気持ちを大事にしてみてくださいね。
まとめ
親が精神的自立を果たしていないと、親子の立場逆転が起こる可能性がある。
親が子供に対し、不機嫌やふてくされといった態度を取ったり、子供を庇護する相手ではなく、対等な立場として見すぎており、子供は変に大人びた子供になる。親は幼稚のまま。
子供が親の立場を買って出ることになると、子供は人生において親を優先するようになり、自立困難になる。
子供は子供の頃はきちんと「子供」として扱われることが当たり前であり、無条件で愛を受け取ること、また、幼稚な態度が出たり、わがままを言ったり、「子供らしさ」を出すのが当たり前の存在である。
親子の立場逆転は、それが許されなかった環境である。
気づいてからでも遅くない。親には親の人生を歩ませよう。親はあなたの子供ではない!
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